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ホーキング

 

よみ方

ほーきんぐ

英 語

Hawking, Stephen

説 明

スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking; 1942-2018)はイギリスの理論物理学者、数学者。相対性理論量子力学を用いた時間と空間の性質に関する研究で有名。オックスフォードに生まれ、幼少の頃から数学と物理学にすぐれた才能を示した。オックスフォード大学で熱力学、相対性理論、量子力学に興味を持ち、1962年、ケンブリッジ大学大学院に進んだ。博士課程在学中、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されたが研究を続け、すぐれた業績を上げた。1974年、史上最年少の32歳でイギリス王立協会会員となり、1979年には、かつてニュートンが就いたケンブリッジ大学ルーカス記念講座教授に選出された。
1960年代の後半、ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose)とともに特異点定理の証明を行ない、1970年、量子力学を用いてブラックホールの性質の研究に着手し、1974年、ホーキング放射によるブラックホールの蒸発理論を提唱した。次いで宇宙論に量子力学の手法を適用し、第一の業績である特異点定理を乗り超えて、無境界条件仮説を提唱した。国際的なベストセラーとなった「A Brief History of Time(邦題:ホーキング、宇宙を語る)」をはじめ、いくつかの一般向け科学書を執筆している。また、2004年には、ブラックホールの蒸発の際、内部にある物質の情報は消えてしまうとしていたが、情報が漏れる可能性があることを発表している。2018年、ケンブリッジの自宅にて74歳で永眠。「車椅子の天才物理学者」とも称せられる。
その半生は2014年公開のイギリス映画「The Theory of Everything(邦題:博士と彼女のセオリー)」に描かれている。
公式ホームページ http://www.hawking.org.uk

2022年10月21日更新

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    「車椅子の天才物理学者」スティーブン・ホーキング。1980年代撮影(撮影日時不詳)。
    出典 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Stephen_Hawking.StarChild.jpg