天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3200語以上収録。専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

New

グリッチ

 

よみ方

ぐりっち

英 語

glitch

説 明

中性子星自転しているためにパルス状の電磁波が観測されるが(パルサーの項目を参照)、そのパルス周期が瞬時に短くなり、その後ゆっくり以前の周期に近づいていく現象。

中性子星は内部のコアと外部のクラストで構成される (中性子星の項目を参照)。コアとクラストの結びつきが弱いことから、コアとクラストの回転の間にズレが生じており、コアの角速度がわずかに大きい。ただし、両者の回転速度の差が臨界値より大きくなると、コアがもつ角運動量がクラストに突然輸送されて両者の回転速度が等しくなる。これがグリッチの原因と考えられる。パルス周期の変化や緩和時間は、超流動物質の質量や超流動物質と通常物質との相互作用の性質を反映する(超流動コアの項目も参照)。なお、マグネターなどの強磁場を持つ天体では、磁場の圧力によるクラストの破壊もグリッチの原因として議論されている。

2018年12月07日更新

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    ベラパルサーのスピンダウン。図上部には14年間にわたる回転振動数νが示されている。図下部では加点振動数の時間変化率の一定値が差し引かれており、6回のグリッチが明らかである。
    (http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1999/pdf/19990102.pdf)