天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

ガスのはぎ取り(銀河の)

 

よみ方

がすのはぎとり(ぎんがの)

英 語

gas stripping

説 明

銀河団の外部にあった渦巻銀河が銀河団の重力に引かれて中心部に落ち込んでいく際に、高温の銀河団ガスから動圧(ラム圧)を受けて銀河円盤のガスがはぎ取られること。銀河に働く環境効果の1つ。動圧は銀河団ガスの密度に比例し、銀河の落ち込む速度の2乗に比例する。ガスがはぎ取られると銀河円盤中の星生成が止まってしまい、円盤の光度が下がってレンズ状銀河になると考えられる。実際、電波観測によって、ガスの割合が平均より低い渦巻銀河や、ガスの分布が星の分布からずれている渦巻銀河が銀河団の中心部に見つかっている。これらはガスがまさにはぎ取られつつある銀河だと考えられる。

2018年03月22日更新

関連画像

ガスの剥ぎ取りが起こっているとされる代表的な銀河、おとめ座銀河団の渦巻銀河NGC4522。星の光に相当する可視光(Rバンド)の画像(白黒のネガ画像)に、中性水素ガスの21cm輝線の画像(等高線)を重ねて描いてある。この銀河はわれわれに対してほぼ真横を向いているため、星の円盤は細長い楕円形に見える。ガスは星の円盤の途中までしか存在しておらず、しかも、星の円盤に対して北西(右上)のほうにずれて分布している。星とガスの分布のこうした違いは、この銀河のガスが銀河団ガスの動圧を強く受けていることを示唆している(Kenney et al. 2004, AJ, 137, 3361)。http://iopscience.iop.org/1538-3881/127/6/3361/203555.figures.html
円盤銀河が高速で銀河団に落ち込むときに、銀河団ガスから強い動圧を受けてガスが剥ぎ取られる様子を示した理論シミュレーション画像(Quilis et al. 2000, Science, 288, 1617)。