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フローティング支持

 

よみ方

ふろーてぃんぐしじ

英 語

floating support

説 明

望遠鏡主鏡のような薄板鏡を変形や移動を抑えて支える方法の一つ。多数の支持点で薄板鏡を支え、板がどのような姿勢になっても、支持点各部分にかかる板の重量と常につり合う力を支持点に発生させる。このようにすれば、板は重力に対して常に「浮いている(フローティング)」状態となり、板に余分な力をかけずに重力の影響を抑えることができる。
中口径(口径3-4 m)以下の望遠鏡の主鏡支持には、静的なフローティング支持(図参照)が広く用いられている。静的フローティング支持では、支持点に取り付けられた梃子(てこ)によって、各支持点での望遠鏡重量がつり合い重り(カウンターウェイト)とつり合っている。主鏡が傾いても、カウンターウェイトによる支持力は傾きに応じて減少するため、常に主鏡は浮いている状態となる。ただし、この支持方法では主鏡の位置決めをすることはできない。そこで、通常は支持点のうち3点を位置を決めるための固定点とする。
大口径望遠鏡では、梃子とカウンターウェイトを用いる代わりに、力センサーとモーターを用いて同様の支持を実現している。すばる望遠鏡超大型望遠鏡(VLT)などでは、さらに積極的に鏡形状まで制御する能動光学を採用している。

2018年09月06日更新

関連画像

*望遠鏡主鏡のフローティング支持の概念図。左は主鏡光軸方向の支持機構、右は横方向の支持機構の仕組みを示す。
吉田道利「地上望遠鏡」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 5.1節 図5.4 (日本評論社)