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FITS形式

高

よみ方

ふぃっつけいしき

英 語

FITS format

説 明

天体データ形式の一種。天体画像データを主として、その他の多くの天文データ(分光データ、高エネルギーイベントデータ、カタログ表データなど)を格納するために現在最も一般的に用いられる形式。FITSはflexible image transport systemの頭文字からきた名称。
もともとは電波観測と光学観測のデータを交換するために考えられた形式である。最初のFITS形式が策定された当時、主なデータ格納運搬媒体は磁気テープであった。磁気テープやCDなどの記録媒体は、ある特定の大きさの物理ブロックごとにデータを読み書きする。当時はそうした媒体へのデータの入出力性能も低く、計算機ごとに異なったワード長(計算機が一度に扱えるデータの長さ)単位でしか読み書きができなかった。そこで、FITS形式の論理レコード長は、策定当時標準的であった磁気テープのブロックサイズより小さく、当時のすべての計算機のワード長で割り切れるように決められた。こうして、その当時の計算機のワード長の最小公倍数23040ビット=2880バイトがFITS形式の1論理レコード長となった。
現在では、磁気テープ以外のさまざまな媒体(ネットワークによる電子的転送も含む)が一般的となり、計算機の記憶容量や入出力性能が向上して、2880バイトの論理レコード長はもはや重要な意義を持たなくなっている。しかし、互換性維持のためにこの規則は維持されている。
FITS形式のデータは、ASCII形式で書かれたヘッダと、バイナリ形式もしくはASCII形式で格納されたデータ配列とからなる。ヘッダは一行80文字(80バイト)の行の集まりからなり、一行は固定形式で8文字(8バイト)のキーワードと、その値(11文字目から始める。自由長)を9文字目に置くイコール記号(=)でつないで書く。ヘッダにはデータ配列に格納されたデータを解読するために必要なさまざまな情報(データの並び方、物理量への変換係数、座標変換係数、データ取得時の情報、など)が書かれている。詳細は、日本FITS委員会ホームページ(\url{http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~kanamitu/fits/})を参照。画像表示ソフトやデータ解析ソフトは、ヘッダに書かれた情報を手掛かりにデータの処理をする。
FITS形式の規約の管理は、国際天文学連合(IAU)の第5委員会(天文データを扱う委員会)の下のFITSワーキンググループが行っている。
FITSサポートオフィス(NASA)ホームページ:http://fits.gsfc.nasa.gov/

2019年02月06日更新

関連画像

FITS形式の模式図。通常の2次元画像ファイルの場合はヘッダとデータ配列がそれぞれ一つだけ格納されているが、一般にはそれらの組み(FITS要素)がいくつも連なっていても良い。多次元データや表データなどがこのような形式となる。