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電気双極子放射

 

よみ方

でんきそうきょくしほうしゃ

英 語

electric dipole radiation

説 明

原子番号や質量数の異なる2つ以上の原子からなる分子(異核分子)は、分子の質量中心と電荷分布の重心が異なるため、重心に対して、正と負の電荷を両端に持つ電気双極子モーメントを持つことになる。これは外部から電場をかけなくても分子の構造によって生じる電気双極子モーメントなので、永久電気双極子モーメントと呼ぶ。分子の回転状態の変化に伴って電気双極子モーメントが変化すると荷電粒子が加速度運動するのと同じことになり、電磁波を放射する。これを電気双極子放射と呼ぶ。電気双極子モーメントが大きな分子は、量子力学的には遷移確率が大きいことに対応する。電気双極子モーメントを持つ分子としては一酸化炭素(CO)、硫化炭素(CS)、シアン化水素(HCN)などがあり、多くは電波のミリ波からサブミリ波領域においてこの放射を発生する。水素分子(H_{\rm 2})のように同じ原子からなる等核分子では質量中心と電荷分布の重心が一致するので永久電気双極子モーメントを持たない。電気四重極子放射も参照。

2018年03月31日更新

関連画像

一酸化炭素分子
電気双極子モーメントを持つ分子の例(一酸化炭素CO)。分子全体の質量中心と分子全体に広がっている電子の分布の重心とが一致していないため、回転運動に伴って効率的に電磁波が放射される。