天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

エシェル分光器

 

よみ方

えしぇるぶんこうき

英 語

echelle spectrograph

説 明

エシェル回折格子と垂直分散素子(クロスディスパーザ)を用いた高分散分光器のこと。エシェル回折格子とは、高次の回折光を利用するために粗く溝が刻まれた回折格子のことをいう。エシェル回折格子で分散された光は、高次回折光のためにいくつもの次数の回折光がほぼ同じ方向に重なってしまう。これを分けるため、エシェル回折格子の分散方向とは垂直方向に光を分散するクロスディスパーザを、エシェル回折格子の後に配置する。この後に結像光学系(カメラ)を置けば、少しずつ波長の異なるいくつもの帯状のスペクトル(エシェルスペクトル)を撮影することができる。これがエシェル分光器の原理である。エシェル分光器は、波長分散の大きな高次回折光を用いるので波長分解能が高く、垂直分散素子で重なった次数を分けるために、一度に広い波長域のスペクトルを得ることができる。
可視光域におけるエシェル分光器として、すばる望遠鏡に搭載された高分散分光器(HDS)や岡山天体物理観測所の高分散エシェル分光器(HIDES)などがある。

2018年09月17日更新

関連画像

岡山天体物理観測所188cm望遠鏡のクーデ焦点に設置された高分散エシェル分光器HIDES。可視光を10万色(比波長分解能λ/Δλ=100000)に分解して、天体からの詳細なスペクトルを観測する能力を持つ。一度に観測できる波長域は380ナノメートルである。(国立天文台)
* エシェル分光器のレイアウト(すばる望遠鏡の高分散分光器HDSの例)
佐々木敏由紀「天体観測装置」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 7.2節 図7.9(日本評論社)
エシェル分光機器によるスペクトルフォーマット(すばる望遠鏡の高分散分光器HDSの例)
佐々木敏由紀「天体観測装置」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 7.2節 図7.10 (日本評論社)