天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

分散量度

 

よみ方

ぶんさんりょうど

英 語

dispersion measure

説 明

熱的電離ガス中の自由電子柱密度のこと。英語読みの発音「ディスパージョンメジャー」をそのまま用いることも多い。星間空間にある熱的電離ガス中を電波が伝播する際には、電離ガス中の自由電子が電磁波に応答する影響で、伝播速度(位相速度)が真空中より遅くなる。その程度は、伝播する電磁波の周波数 \nu の関数となり、低周波ほどより遅くなる。このため、異なる周波数の電磁波信号が電離ガスを通過すると、透過に要する時間に違いが生じ、同時に発射された信号でも到達時間に違いが生じる。プラズマ周波数よりも十分に高い2つの周波数の場合、伝播時間の差は周波数の2乗の逆数の差に比例し、その比例係数は自由電子の柱密度に比例する。電離ガスが分布するの奥行の長さをLとし、熱的自由電子の数密度を n_{\rm e} としたときの分散量度 DM は、
{\rm DM}\equiv \int_{\rm 0}^{L}n_{\rm e}\ dx
で与えられる。天文学では、電子の数密度の単位を[{\rm cm}^{-3}]、視線長さの単位を[{\rm pc}]として値を見積もることが多いので、それに合わせて分散量度の単位は[{\rm pc\,cm}^{-3}]となる。パルサーからの電波は様々な周波数で極めて短い時間に同時に発射されるので、これを観測し、その到達時間差を周波数の関数として調べることで分散量度を測定することができる。これとパルサーまでの距離を用いて、パルサー方向の希薄な熱的電離ガスの平均密度を見積もる研究がなされている。

2018年05月11日更新

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