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回折格子

高

よみ方

かいせつこうし

英 語

diffraction grating

説 明

光の回折と干渉の性質を利用した分光素子。平面基板上に溝を刻線した平面回折格子が多用されるが、ローランド凹球面に刻線した凹面回折格子もある。反射で使うものと透過で使うものにより、反射型と透過型がある。また、透過型の一種として使用中心波長を直進させるためプリズム上に刻線したグリズム(回折格子プリズム)があり、撮像と分光を兼ねた装置に用いられる。刻線の形成法としては、ダイヤモンド刻線機で精密加工を施すか、レーザーホログラフィでフォトレジスト層にパターンを形成してマスター回折格子を製作し、ガラス基板上の樹脂層で型取りして複製する方法が一般的である。溝の形を鋸の歯のように成形して回折効率を高めたものをブレーズ回折格子という。ブレーズ回折格子では、格子の溝の斜面に対して、入射光と(m次の)反射光が鏡面反射の関係にあるときに、その反射光にエネルギーの大部分が集中する。この場合、回折格子の格子間隔をd、ブレーズ角を\theta、ブレーズ面への入射角を\alpha、反射角を\beta、次数をmとすると、干渉の条件から回折光の波長の反射角依存性は
 \lambda=(\sin\alpha+\sin\beta)\frac{d}{m} と表せる。また、 \theta = \frac{\alpha + \beta}{2} となる。天文学では、近年、体積ホログラフィー法(VPH)を用いた高効率グリズムも開発されている。

2019年09月12日更新

関連画像

* 回折格子による波長分散の原理。干渉する光の波長は回折角の関数となる。格子間隔d、回折格子のブレーズ角θ_B、入射角α、出射角βの場合、隣り合う光線の光路長の差が波長λの整数倍、
d(sinα+sinβ)=mλ、になるときに光が干渉して強め合う。mを干渉の次数という。
佐々木敏由起「回折格子」、シリーズ現代の天文学 第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 6.5節 図6.25(日本評論社)
* 回折格子による回折光スペクトルの次数。入射光は波長範囲がλ1からλ2までの連続光である。
佐々木敏由起「回折格子」、シリーズ現代の天文学 第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 6.5節 図6.26(日本評論社)