天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

密度波理論

高

よみ方

みつどはりろん

英 語

density wave theory

説 明

銀河渦巻腕が十分に長い時間、その形状を維持し続ける仕組みを説明する理論の一つ。銀河の渦巻腕は、その時点での星の粗密を反映しているだけ(つまり密度波)で、銀河円盤部の個々の星は腕と腕の間を移動しているとする説。恒星分布の粗密が作る重力ポテンシャルの強弱によって恒星の公転運動が変化し、その結果として生じる恒星分布の粗密が原因となる分布と一致すれば、それが永続する密度波のパターンとして渦巻腕となる可能性がある。渦巻がきつく巻きついているとした場合、その振幅を線形近似すると、その地点での物理量どうしだけが関係する線形の方程式が得られる。これを解くと、実際に上記の条件を満たす恒星分布の濃淡が存在することが知られている。このことを、リン(C.C. Lin)とシュー(F. Shu)が1964年に発表したのが密度波理論のはじまりとされる。巻き込みの困難も参照。

2018年12月05日更新

関連画像

* 運動学的密度波。(a) 長軸が同じ方向を向いた楕円軌道上を運動する星が集まった銀河円盤のイメージ図。(b) 楕円軌道の長軸方向を内側のものから少しずつ反時計回りにシフトさせると軌道が密集した渦巻きパターン(密度波)が現れる。
土佐誠「銀河の渦状構造の理論:密度波理論」、シリーズ現代の天文学第5巻、祖父江・有本・家編『銀河II』第2版 9.1節 図9.1(日本評論社)
* 密度波と星形成。密度波に沿って圧縮されたガスの腕(黒実線)で星形成が始まるが、星が輝き出すまでに数百万年かかるので、パターンの角速度(Ω_p)よりガスの角速度(Ω)が大きいとパターンを追い越してから星ができ、ガスの腕と星の腕(灰色実線)の間にずれができる。
「銀河の渦状構造の理論:密度波理論」、シリーズ現代の天文学第5巻、祖父江・有本・家編『銀河II』第2版 9.1節 図9.4(日本評論社)