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暗黒星雲

高

よみ方

あんこくせいうん

英 語

dark nebula

説 明

ガス星雲のうちで、低温度(20 K程度)かつ高密度(500水素原子 cm-3 程度以上)で、多量のダストを含むため、背後の天体からの光がダストに遮られて黒い雲のように見えるもの。この名称は見かけの様相に由来する。暗黒物質(ダークマター)とは全く関係がない。このようなガス星雲中にはさまざまな分子が含まれるので、分子雲と呼ばれることもある。分子雲の中で、周囲より密度が高くなった分子雲コアから星が生まれる。暗黒星雲は、可視光では吸収が強いため暗く(黒く)見えるが、赤外線ではダストが熱放射で光って見える。赤外線暗黒星雲も参照。

2020年08月14日更新

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    暗黒星雲1
    暗黒星雲の代表例であるオリオン座の馬頭星雲(東京大学木曽観測所の105 cmシュミット望遠鏡で撮影)
    暗黒星雲2
    可視光で見た三裂星雲(M20)。黒い(暗い)部分は星間ダストが濃く、背景の光を遮っている。
    http://photojournal.jpl.nasa.gov/figures/PIA07225_fig2.jpg
    暗黒星雲3
    波長24μm の赤外線で見た三裂星雲(M20)。
    ダストからの放射で可視光で暗かった部分が輝いて見える。
    http://photojournal.jpl.nasa.gov/figures/PIA07225_fig3.jpg