天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

宇宙定数

 

よみ方

うちゅうていすう

英 語

cosmological constant

説 明

一般相対性理論を創り出したアインシュタイン(A. Einstein)によって、静止宇宙モデルを構成するために考えられた時空の座標系に依存しない定数。ギリシャ文字\Lambdaがよく用いられる。アインシュタインが最初に提案した一相対性理論の基本方程式であるアインシュタイン方程式に基づいて一様で等方的な宇宙モデルを表す解をつくってみると、その解は必ず膨張、あるいは収縮してしまう。宇宙は無限の過去から無限の未来まで変わらず存在すると考えていたアインシュタインは、1917 年、自分の方程式に反発力を表す項を付け加えて時間的に変化しない有限な体積をもつ宇宙モデル(アインシュタインの静止宇宙)をつくった。この項を宇宙項と呼び、この項に現れる座標系に依存しないスカラー量を宇宙定数と呼ぶ。なおアインシュタインの静的宇宙は安定ではなくわずかな揺らぎで膨張、あるいは収縮してしまう不安定な存在である。

宇宙項は空間に付属するエネルギー密度ともみなすことができ、しばしば真空のエネルギーとも呼ばれる。数学的にはこの真空のエネルギーは正でも負でもよく、正の真空エネルギーだけを持つ宇宙をド・ジッター宇宙、負の真空エネルギーを持った宇宙を反ド・ジッター時空と呼ぶ。

宇宙の膨張が発見されると、宇宙を静止させるための宇宙項の必要性はひとまずなくなった。しかし宇宙定数の存在を理論的に否定することができないため、その後も宇宙定数がゼロかそうでないかは何度も取り沙汰された。20世紀終わりに宇宙膨張の加速が発見されると、宇宙定数が再び脚光を浴びることとなった。加速膨張を引き起こすエネルギーを一般に暗黒エネルギーというが、宇宙定数は宇宙膨張の過程でその値を変えない変化しない特別な暗黒エネルギーということができる。現在までの観測では暗黒エネルギーは宇宙定数であるとして矛盾はない。しかし真空のエネルギー密度として理論的に推定される宇宙定数の値は観測値よりもはるかに大きく、宇宙定数の起源は全くの謎である。フリードマン方程式も参照。

2018年09月01日更新

関連画像