天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

彗星

小

よみ方

すいせい

英 語

comet

説 明

太陽系の内側でガスやダスト(塵)を放出する氷天体。ほうき星とも呼ばれる。観測では、中心部から明るく拡散的に広がったコマの部分と、コマから反太陽側に線状に流れるように広がるの部分に分けられる。コマの中心部には、ガスやダストを供給する氷とダストからなる彗星核がある。ホイップル(F. Whipple)は、彗星核をH_2Oを主成分とする氷とダスト粒子が均質に混合したものと考え、汚れた雪玉モデルを提唱した。コマを構成するガス成分の観測から、彗星の揮発性成分の組成が求められる。主成分は水の氷であり、一酸化炭素、二酸化炭素が次いで多い。そのほかに、H_2CO, CH_3OH, CH_4, NH_3, HCN, H_2S, OCSなどが観測されている。
彗星の多くは、突然出現して太陽に近づくにつれて輝きを増す。軌道傾斜角が大きなものや逆行するものも多く、計算される公転周期は長く遠日点が数万天文単位のものまである。公転周期が200年より短いものを、短周期彗星あるいは周期彗星と呼び、200年以上のものを長周期彗星と呼ぶ。観測で求められる離心率が1以上で、放物線、双曲線軌道を取るものは非周期彗星と呼ばれる。
彗星は太陽系外縁部に由来をもつ天体であり、太陽系形成の初期の記憶を留めている天体である。太陽系の外側で形成された氷微惑星や成長した原始惑星のうち、ガス惑星に取り込まれなかったものが、惑星の散乱を受けてオールトの雲やエッジワース-カイパーベルトとなった。エッジワース-カイパーベルト天体の一部は、ガス惑星の重力により軌道が内側へ進化して、最後は木星の重力により太陽系の内側に運ばれることが軌道計算により明らかになっている。一方で、軌道離心率や傾斜角が非常に大きい彗星については、たまたま太陽近くを通過した恒星の摂動などでオールトの雲から太陽系内部に到達する軌道へと直接運ばれた可能性がある。
小惑星と異なり、彗星の名前は基本的には発見者の名前が3名までつけられる。ハレー彗星(ハレーは軌道決定者で彗星そのものは昔から知られていた)などは例外である。しかし、同じ観測者が多数の彗星を発見する場合もあるため、C/1995 O1 Hale-Boppという形で正確には命名する。これは、1995年の7月後半に最初に報告された彗星で、発見者がHale, Boppの2人であることを示している。IとZを除く24個のアルファベットが各月の前半と後半を表す(1月前半がA、後半がB)。周期彗星ではC/のかわりにP/を使い、先頭に通し番号がつけられる。小惑星太陽系外縁天体も参照。

彗星の表

2018年10月06日更新

関連画像

ヘールボップ彗星(C/1995 O1)(国立天文台)
百武彗星(C/1996 B2)(東京大学木曽観測所)