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カッシーニ探査機

高

よみ方

かっしーにたんさき

英 語

Cassini

説 明

アメリカ航空宇宙局(NASA)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)が共同で開発して、1997年に打ち上げた土星探査機。当初は、小惑星彗星探査機(Comet Rendezvous Asteroid Flyby(CRAF))と同じプラットフォームを使い同時に開発をする計画であったが、CRAFは中止になり、その予算はカッシーニに向けられた。2000年に木星によるスイングバイを行い、ガリレオ探査機と木星磁気圏の共同観測を行った。2004年6月30日に土星周回軌道に投入され、12月にタイタン着陸船ホイヘンスを切り離した。ホイヘンスは2005年1月14日にタイタン表面に着陸した。降下中の大気、カメラのデータや、表面の観測データや画像を、カッシーニ経由で地球へ送信した。降下中のカメラの画像から、メタンの雨によると思われる河川地形を発見した。タイタンの極域にメタンの雲、湖が存在することをカッシーニは観測している。カッシーニの成果のなかでも最大のものは、エンセラダスから氷とガスのプリュームが吹き出していることを発見し、その成分を調べたことである。また土星のリング中に複雑な構造があることも明らかにしている。2011年時点で、ほぼすべての観測機器が順調に作動しており、2017年までの延長運用を行ったが、2017年9月15日に土星大気に突入して、観測を終了した。
ホームページ:
https://solarsystem.nasa.gov/missions/cassini/overview/
https://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/main/index.html

2021年05月06日更新

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    関連画像

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    カッシーニ探査機(手前はホイヘンスプローブ)と打ち上げの様子(JPL/NASA)
    土星の環に大きな影響を与えている二つの衛星ミマスとプロメテウス。カッシーニ衛星が撮影
    https://solarsystem.nasa.gov/resources/135/ring-shapers/
    NASA/JPL/Space Science Institute(PIA10523: November 28, 2008)
    明るいスポーク構造。衛星ミマスの影が最上部近くのリングに見られる。カッシーニ衛星が撮影
    https://solarsystem.nasa.gov/resources/154/bright-spokes-dark-shadow/
    NASA/JPL/Space Science Institute(PIA12605: April 6, 2010)
    土星の衛星エンセラダスから噴き出す氷とガスのプリューム。2015年にカッシーニ衛星が通過した位置を示すためにイラストが描き込まれている。
    https://www.nasa.gov/image-feature/illustration-of-cassini-spacecraft-diving-through-plume-of-ocean-world-enceladus
    Image Credit: NASA/JPL-Caltech