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小惑星帯

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よみ方

しょうわくせいたい

英 語

asteroid belt

説 明

火星木星の軌道の間で多くの小惑星が存在する領域のことを小惑星帯と呼ぶ。小惑星にはこの領域以外に、地球軌道近傍の軌道をもつ地球接近小惑星、木星と同じ軌道にあるトロヤ群小惑星があるため、これらと区別するため、小惑星帯にある小惑星のことをメインベルト小惑星と呼ぶことも多い。小惑星帯における小惑星の数の分布は、木星との平均運動共鳴あるいは木星や土星との永年共鳴の位置では極端に数が少なくなっている。このうち平均運動共鳴の位置における数の減少は、発見者にちなんでカークウッドの間隙と呼ばれる。一方、同じ平均運動共鳴でも木星と小惑星の公転周期が3:2となる位置には小惑星が集まっており、チルダ群と呼ぶ。これは共鳴関係のために木星に近づかない軌道になっているからである。小惑星帯は、太陽系形成後期の木星形成後、木星からの重力作用を受けて軌道が大きく乱された微惑星がそれ以上の合体成長を妨げられたもの、あるいは軌道を乱された結果、高速衝突・破壊を経験して形成されたものと考えられている。

2019年07月03日更新

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    *小惑星番号で1番から5000番までの小惑星の2007年8月24日(惑星の定義が決まった直後)の位置を示す図。 小惑星は主として火星軌道と木星軌道の間の小惑星帯に分布する。このほか、木星軌道上の太陽から見て木星に対して前後60度の位置にトロヤ群と呼ばれる小惑星の集まりが存在する。
    日本学術会議太陽系天体の名称等に関する検討小委員会編
    http://www.yac-j.or.jp/kyouzai/taiyo/index.html
    *軌道長半径と小惑星の個数を示した図。2006年1月時点での確定番号の小惑星のみを表示してある。縦の破線は平均運動共鳴の位置を示している。
    長谷川直「小惑星」、シリーズ現代の天文学第9巻、渡部・井田・佐々木編『太陽系と惑星』5.1節 図5.1(日本評論社)