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アナログ-デジタル変換

高

よみ方

あなろぐでじたるへんかん

英 語

analog-to-digital conversion

説 明

多くの巨視的物理量や観測量は、その値を連続的にとりうるアナログ量である。これらアナログ量の信号値を、一定のルールに基づき有限ビット長の数字列へと離散化して変換する操作のことを、アナログ-デジタル変換と呼ぶ。A/D変換ということも多い。天文学上の数値計算や観測で扱われるアナログ信号の多くは、その時間変化あるいは空間変化も合わせて記録されなければならない。この場合、時間方向や空間方向での離散化も合わせて必要である。信号の値を離散化する操作を「量子化」(quantization)と呼ぶのに対し、時間・空間方向で離散化する操作を「標本化」あるいは「サンプリング」(sampling)と呼ぶ。一連の流れの中で量子化と標本化の両方を行う操作全体を指して、A/D変換と呼ぶ場合もある。
アナログ信号を数値として記録したり計算機で扱うためには、A/D変換は不可欠な処理である。ただし量子化や標本化は、系統誤差を発生しないよう、注意深くなされる必要がある。A/D変換後のデジタル信号と、もともとのアナログ量の真の値とのずれを量子化雑音と呼ぶ。量子化のルールやビット長は、この量子化雑音の影響が許容範囲に収まるように決定されるべきである。また、標本化の間隔も、折り返し歪み(エイリアシング)が起きないよう十分密になされる必要がある。詳しくはナイキストサンプリングを参照。

2018年03月23日更新

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